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コソウィック鈴美さん

日本から、ダグラスカレッジに留学。Naomi's Cafeに通った学生
ひとり。カフェで出会ったご主人と結婚、二人のお子さんと、現在も
バンクーバーに在住。


当たり前のように通ったNaomi's Cafe

当時、私はダグラスカレッジの学生でした。ホームステイ先の日本人の
ルームメイトがNaomi’s Café に行っていたし、ダグラスカレッジの先生
もカフェに行っていたので、“みんな行くのが当たり前”というような感
じでしたね。 

建物は古かったけれど、カジュアルで入りやすい感じの良いお店でした。
近所のお店の人たちがいつも集まって来ていましたよ。お店が終わると
ゆっくりしに来たり、お店が暇になると来ておしゃべりしたり、みんな
親友同士みたいな感じでした。商店街が活発だった時代の、下町の人た
ちのいこいの場という感じ。

当時でも珍しい古いレバーつきのレジスターがあったのをよく覚えてい
ます。ノスタルジックな雰囲気の中になおみさんという「ママ」がいて、
そんな雰囲気が好きでお客さんたちも集まってきたんじゃないかな。
なおみさんは、お客さんにパンをあげたりおみやげを持たせたりして、
お客さんの方でも何か持ってきたりしていました。色々なところで皆さん、
助け合いながらやっていたいたんじゃないでしょうか。お隣りの床屋の
ノーマンなんかは、お店で何かが壊れるとすぐ直しに来てくれ
たりしていましたね。カフェのお客さんも、ご飯を食べてノーマンの床屋
に行くという人がたくさんいたみたいです。

メニューは北米スタイルで、特にNaomi’s Café のクラムチャウダーとアップル
パイはニューウェストミンスター市では有名でした。毎日、日替わりメニュー
がプラステイックボードに書いてあって、毎週金曜日はアジア風メニューの日。
ちらし寿司とか、シュリンプカレーとか。

なおみさんに会いに行く

毎週金曜日には、日本人留学生はみんな無料で食べさせてもらっていました。
いつでもたくさんの日本人学生が来ていたと思います。20人以上は来ていまし
たよね。金曜日以外にも、しょっちゅうカフェに行っていたんです。お金を払
わなくちゃ・・・なんて思ったことはなかったですし、なんだか当たり前のように、
なおみさんのところに行って食べていましたよね。「昼の忙しい時には来ない
でね」って、言われたことは一度もなかったんです。カフェに行くと、当たり
前のように「何食べる?鈴美ちゃん?」って聞いてくれて。当時は学生でまっ
たくそんなこと気づかなかったけれど、今思えばスゴイことですよね。

みんなご飯を食べに行くというよりは、なおみさんに会いに行っていたのだと
思います。ボーイフレンドやガールフレンドができると、なおみさんに紹介して
ご意見を伺って。お母さんみたいな存在だったんですよね。
鈴美
1989年 左から3人目が鈴美さん

日本から学生の親が来ると、わざわざNaomi’s Café にお礼を言いに来ていま
した。学生にとっても親にとっても、なおみさんはありがたい頼れる存在だっ
たんです。
 

きれいでパワフル、そして優しい…


なおみさんは、色白できれいな華のある人でした。女優の岡田茉莉子さんの
若い頃の写真を見て、よく似ているな~と思いましたよ。いつもなおみさん
の大好きなブルーのものを着て、髪の毛をきれいにセットしていて。お化粧
をしているというわけではないのに、生き生きと楽しそうでとてもきれいで
した。元気でエネルギッシュで、すごい働き方でしたよね。走り回って、しゃ
べって、笑って。。。ものすごく大きな鍋をひとりで持ち上げているのを見て、
ビックリしたことがあります。

「お金は天下の回りものって言ってね」と、"気っぷ"が良いんです。それも自
然にやっている。お金儲けなど考えずに、本当に「人が好き」で、心から楽し
んでいたんだろうなと思います。まったく欲のない人で、損得勘定なしにみん
な人にあげてしまう・・・そこが大物なんだろうな。

学生たちの恋愛の話とかを聞いて「すてき~!」というような少女っぽい面も
あり、そこがまたチャーミングでした。誰かのことを「すごいわね~、偉いわ
ね~」と、尊敬することもできて、とても素直な人でもあったと思います。

私の夫もNaomi’s Café のお客だったんですが、それほどなおみさんと親しいと
いうわけではなかったのに、仕事で疲れて行ったりすると、何も言わずに
「はい」ってアップルパイを出してくれたそうです。なおみさんは観察力も鋭い
し、そうやって誰にも優しくしてきたんだろうと思います。

誰とでも本気で向き合うなおみさん

時には激しくて火の玉のような熱い一面もありましたよね。「こんなことを言っ
ら嫌われて離れていくんじゃないかな」なんて恐れずに、誰にでも真正面から
自分の
意見をはっきり伝えてくれていた。

私は、なおみさんには、なんでも言いました。好きなことも、時にはボロボロ
泣いて、怒って・・・あの時はわからなかったけれど、今になってすごいことだと
しみじみ思います。時にはなおみさんにガツンと怒られて、カチンと来たことも
あったけれど、どれも本当のことを言われていたんですよね。あまりにもストレ
ートに怒られるので、「クソババア!」って思ったこともありましたけれど
(笑)
ただ優しいだけでなく、誰に対しても本音で付き合ってくれていたんです。
「鈴美ちゃん、仕事を持ちなさい。信仰を持ちなさい。辛い時に救われるからね」。
といつも言われていて、そのなおみさんの言葉が今でも心に残っています。

私たちダグラスカレッジの学生は、本当にラッキーだったと思います。なおみ
さんに出会って、本音でズバッと言われたその言葉をバネにして、みんなその後の
人生をがんばっていると思います。心に響く言葉なんです。